2025.08.09 はじめてのお墓

夏の終活で見直したいお墓と供養のかたちとは？

夏の帰省やお盆の時期は、ご先祖を敬い、家族の絆を再確認する大切な時間です。

久しぶりに実家に戻り、仏壇に手を合わせたり、お墓参りをしたりする中で、ふと「自分たちのお墓はどうするのだろう」「お墓って本当に必要なのかな？」と感じたことはありませんか？

近年は、ライフスタイルの変化や価値観の多様化により、「お墓を持たない」という選択肢も広がっています。
加えて、終活の一環として供養のかたちを見直す方も増え、自然志向の樹木葬や永代供養墓など、新しい選択肢への関心が高まっています。

この記事では、「お墓は必要？」と感じ始めた方に向けて、夏の今だからこそできる終活チェックの視点で、お墓にまつわる考え方や供養方法の選び方をご紹介します。
家族との対話や情報収集を通じて、自分たちらしい供養のかたちを見つけるきっかけとなれば幸いです。

「お墓どうする？」お盆こそ大切な会話のチャンス

普段の生活では、家族で「お墓」や「将来の供養」について真面目に話す機会はあまりありません。
しかし、お盆などの帰省時期は、亡くなった家族やご先祖の供養を通じて、自然とそうした話題に向き合いやすい時期です。

このタイミングを活かして、次のようなことを話してみてはいかがでしょうか。

特に、「お墓は子どもに迷惑をかけない形がいい」「自分の思いを生前に伝えたい」と感じている方も多く、子ども世代と親世代が一緒に考えることで、互いに安心できる道が見えてくることもあります。

親世代と子世代で感覚のギャップも

親世代は「お墓は家の象徴」「代々守っていくべきもの」という考えを持っていることが多く、子世代は「生活に合った供養の形を選びたい」と柔軟に考える傾向があります。

その違いを埋めるには、「正解はひとつではない」ことを前提に、お互いの思いや背景を聞き合うことが大切です。
お墓のことは「重い話」になりがちですが、先送りにするほど、後々トラブルになるケースもあるため、早めに話しておくことに意味があります。

実家のお墓を久しぶりに訪れたとき、「管理が大変そう」「今後誰が守っていくのだろう」と感じる方も少なくありません。
夏の帰省中に現地で状態を確認できるのは、今後の供養のあり方を考えるよいきっかけになります。

増えている「お墓を持たない」という選択

近年、「お墓は持たない」という選択をする方が増えています。
背景には、経済的な事情だけでなく、ライフスタイルや価値観の多様化が関係しています。
「お墓＝絶対に必要なもの」という固定観念が、少しずつ変わり始めているのです。

お墓を持たない理由とは？

具体的には、以下のような理由が挙げられます。

このように、「お墓を持たない」ことにはさまざまな理由があり、必ずしも「供養をしない」ということではありません。
むしろ、自分や家族に合った“新しい供養のかたち”を模索する動きが活発になっています。

お墓がなくても供養はしたい人が増えている

お墓を持たなくても、故人やご先祖を大切に思う気持ちは変わりません。
近年では、宗教的儀式よりも「心のよりどころ」として供養を重視する人が増えています。
そうしたニーズに応える選択肢として、注目されているのが次に紹介する「樹木葬」です。

注目される新しい供養の形「樹木葬」とは？

「お墓を持たない」という選択肢が広がる中で、近年注目を集めているのが「樹木葬（じゅもくそう）」です。
これは、墓石の代わりに樹木を墓標とする供養方法で、自然と一体化するような埋葬スタイルが特徴です。

樹木葬の特徴と魅力

これまでのお墓のイメージとは少し違うやさしいかたちの供養として、注目されているのが樹木葬です。
ここでは、なぜ多くの人が樹木葬を選ぶのか、その特徴と魅力をご紹介します。

自然志向と心の供養

「自然に還りたい」「静かな場所で眠りたい」「後に残される人の負担を減らしたい」
こうした思いを叶える方法として、樹木葬はまさに現代の供養スタイルに合った選択肢といえるでしょう。

また、四季の移ろいを感じながらお参りできる環境も、樹木葬の魅力の一つです。
お墓参りが義務ではなく、癒しの時間になることも、樹木葬が多くの人に支持される理由です。

また、真夏の墓参りや掃除が年々つらく感じるという声も増えてきました。

高温多湿の中での供養は、特に高齢の方にとっては大きな負担です。
こうした現実から、「無理のない供養スタイル」を見直すきっかけとして、夏の終活を始める方もいらっしゃいます。

樹木葬について、詳しくは以下のページで紹介しております。
樹木葬の費用相場や内訳は？トラブルを避けて後悔しないためのポイント

終活の第一歩として情報を集めることから始めよう

終活というと「まだ早い」「何から始めればいいのかわからない」と感じる方も多いでしょう。
しかし終活の第一歩は、とてもシンプルです。

大切なのは、いきなり何かを決めるのではなく、まずは「情報を集めること」から始めることです。
お墓や供養についても、今は選択肢が多様化しています。

たとえば以下のような供養スタイルがあります。

これらはそれぞれ特徴や費用感が異なり、「どれが正解」というものはありません。
自分や家族に合った方法を知り、選ぶためには、まず選択肢を知ることが大切なのです。

見学や相談も気軽にできる時代に

夏は、お盆や帰省をきっかけに家族が集まりやすい季節です。
このタイミングで「ちょっと霊園を見てみようか」「資料だけでも取り寄せてみようか」と、終活に関する話題を自然に共有しやすいのも、お盆の時期の特徴です。

最近では、石材店や霊園でも気軽に参加できる見学会や個別相談を開催していることが増えており、ホームページやSNSからも情報を集めやすくなっています。

例えば、こんなチェックポイントを確認してみましょう。

少しずつ情報を集めていくことで、「なんとなくの不安」が「自分たちに合った選択ができそう」という前向きな感覚に変わっていきます。

家族に残す「終活メモ」のすすめ

せっかく情報を得たら、その内容や自分の考えを簡単にメモしておくこともおすすめです。
「希望する供養方法」や「連絡してほしいお寺・業者」「誰に相談してほしいか」などをまとめておくと、将来、家族が迷わずに行動できます。

こうした「終活メモ」は、エンディングノートのような形式にしても良いですし、紙1枚でも構いません。
終活の考えを見える化しておくことで、気持ちの整理にもつながります。

お墓を持つ・持たないの判断で大切にしたいこと

お墓を持つべきか、それとも持たないという選択肢をとるべきか。
この問いに、正解はありません。
大切なのは、家族の考え方やライフスタイル、経済的な事情、そして何より「自分自身が納得できる形」を見つけることです。

判断を急がず「話す」「知る」「残す」を意識して

お墓のことを考えるうえで、まず大切にしたいのは以下の3つです。

これらを意識することで、「なんとなく気になっていたけれど後回しにしていた終活」が、一歩ずつ進み出します。

選択の背景には「想い」がある

お墓や供養のかたちを選ぶとき、人はそれぞれの立場や価値観、人生観に基づいた想いを抱えています。
経済的な理由や家族構成だけでなく、「自然の中で眠りたい」「家族に迷惑をかけたくない」「ご先祖のつながりを守りたい」など、その選択には必ず心の理由があります。

近年は選択肢が増えたことで、自分らしい供養を選べる時代になりました。
大切なのは、周りの意見に流されるのではなく、自分自身と家族の想いに寄り添った判断をすることです。

どの供養方法を選ぶにしても、その背景には、誰かを大切に思う気持ちや、感謝の心が込められているのです。

おわりに

「お墓は必要なのか？」という問いに、明確な正解はありません。
けれども、その問いに向き合うことは、自分の人生や家族との関係を見つめ直す大切なきっかけになります。

特に夏は、帰省やお盆を通して供養や家族のつながりを実感しやすい季節です。
このタイミングで、家族とお墓について話す時間を持ったり、自分なりの供養のかたちを考えてみたりすることで、「漠然とした不安」が「前向きな準備」へと変わっていくはずです。

終活は、残される人のための優しさでもあり、自分自身が安心してこれからの人生を歩んでいくための備えでもあります。
この夏、ほんの少し立ち止まって、「これからの供養」について考える時間をとってみてはいかがでしょうか。