2025.11.01 お墓をお持ちの方

高齢化にやさしいお墓の選び方とは？立ったままお墓参りのできる新しい形もご紹介

お墓参りは、ご先祖様を想い、自分の心を整える大切な時間です。
しかし、年齢を重ねるにつれて「階段を上るのがつらい」「しゃがんでお線香をあげるのが大変」と感じる方が増えています。
高齢化が進む今、「お墓は建てたら終わり」ではなく、長くお参りを続けられるかどうかが大切な視点になっています。

近年では、段差の少ない参道やベンチを備えた霊園、手入れのしやすい墓所など、高齢者や車椅子利用者にもやさしいバリアフリー設計の墓地が増えています。
また、今あるお墓をよりお参りしやすく整える工夫や、家族が安心して通える霊園を選ぶ動きも広がっています。

この記事では、こうした高齢化にやさしいお墓づくりをテーマに、霊園選びのポイントや高齢者におすすめのお墓の形など、これからの時代に合ったお墓のあり方をわかりやすく解説します。

なぜ今、「高齢化にやさしいお墓」が注目されているのか

日本では家族構成や暮らし方が変わり、「行きたいのに行けないお墓参り」という現実が増えています。
都市部への転居で実家から離れて暮らす人が増え、車の運転を控える高齢者も多くなりました。

さらに、墓地までのアプローチに階段や砂利道が多いと、足腰・バランス・視力の衰えが重なって転倒リスクが上がります。
結果として、年に数回だったお参りが年1回、あるいは法要の時だけと間隔が空きがちになります。

こうした背景から、段差を抑えた動線・休憩のしやすさ・管理のしやすさを備えたやさしいお墓への需要が高まっているのです。

お墓参りが負担になる現実

お墓参りの負担の正体は「道中の小さな困りごと」の積み重ねです。

たとえば、駐車場から平坦な舗装で50〜100m以内、途中にベンチ1基、墓所前に腰掛けられる高さの香炉台があるだけで、体感の負担は大きく減るでしょう。

家族全員で訪れやすいお墓の需要拡大

お墓参りは「家族の時間」でもあります。
三世代で訪れる際、ベビーカーや車椅子がすれ違える通路幅や、休憩・待機のための小さな広場があると、同行者を気遣うストレスが減ります。
また、道順を示す視認性の高いサインや、転倒を防ぐノンスリップ舗装、濡れても滑りにくいフラット敷石などが整備されていると、安心してお墓参りを行うことができます。

結果的に、「また行こう」と思えるお墓となり、供養が長く続くきっかけになります。

高齢化社会に対応した供養スタイルの変化

かつては「お墓を建てたあとは家族が守るもの」とされてきました。
ですが今は、どの世代でも無理なくお参りを続けられるように、お参りのしやすさやお手入れの負担を最初から考えて設計するお墓づくりが主流になりつつあります。

こうした変化を受けて、最近ではバリアフリー設計を意識した霊園を選ぶ人や、通いやすい場所へのお墓の引越し（改葬）を検討する人も増えています。

高齢者に配慮した霊園選びとお墓の引越しという選択肢

将来を見据えてお墓参りを続けるには、段差や距離、アクセスなど、お墓まわりの環境をしっかり確認して土地を選ぶことが大切です。
段差をなくすリフォームや舗装の整備は個人では難しいため、新しくお墓を建てる方は霊園のバリアフリー設計を確認しておきたいポイントです。

また、すでにお墓をお持ちの方も、「通いづらくなった」「家族が遠方にいる」などの理由から、よりアクセスしやすい霊園へお墓を引っ越す（改葬する）という選択肢を取る人が増えています。

新規購入時に見るべきバリアフリー霊園のポイント

新しくお墓を購入する場合は、墓石だけではなく土地（霊園）を選ぶ視点も重要です。
パンフレットの写真だけでは分かりにくいので、実際に現地を歩いてチェックしましょう。

特に、以下のような点を確認しておくと、高齢の方や車椅子を利用する方でも安心してお参りできます。

また、バリアフリーに加えて、清掃・点検・法要サポートなどの管理体制の良さもチェックしておくと安心です。

休憩スペースや設備の充実度を確認しよう

お墓参りは、短時間でも意外と体力を使うものです。

とくに夏場や冬場など気候の厳しい時期は、座って休める場所があるかどうかで快適さが変わります。
日よけ付きのベンチや東屋（あずまや）、花や水を置けるテーブルがあると、家族みんなでゆっくりと過ごすことができます。

お墓の位置だけでなく、霊園全体の雰囲気も大切です。
通路が広く明るい印象か、緑や花が手入れされているかなど、「また来たい」と思える場所かどうかを自分の目で確かめましょう。

既にお墓を持っている人は改葬という選択も

高齢化や生活環境の変化によって、「お墓まで遠くて行けない」「子どもが県外に住んでいて守れない」といった悩みを持つ方が増えています。
こうした場合、お墓を別の霊園へ移す「お墓のお引越し（改葬）」という方法もあります。

改葬とは、現在のお墓から遺骨を取り出し、新しい墓地や納骨堂へ移すことを指します。
自治体への申請や、受け入れ先の霊園との契約など一定の手続きが必要ですが、最近では石材店や霊園が書類の準備から改葬後の供養までをサポートしてくれるケースも増えています。

お墓の引越し先として人気なのが、平坦でアクセスの良い都市型霊園や屋内墓苑です。
段差のない参道やエレベーター完備の施設も多く、天候を気にせず快適にお参りできます。
また、屋内型の墓苑では冷暖房が整っており、雨風や雪の日でも安心です。

「先祖代々のお墓を動かすのは気が引ける」と感じる方もいらっしゃいますが、お墓の引越しは供養をやめるのではなく、供養を続けるための前向きな方法です。

自分たちが通いやすい場所へ移すことで、結果的にお参りの頻度が増え、お墓がより身近で大切な場所として受け継がれていくケースも少なくありません。

お墓のお引越しを実際に検討してみたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

お墓の引っ越しの手順や手続き方法は？改葬の流れとポイント

高齢者におすすめのお墓とは？

お墓は「建てたあとの安心」までを考えて選ぶ時代になっています。
高齢になると、しゃがむ・持つ・歩くといった動作ひとつにも負担がかかるため、お参りのしやすさを重視したお墓づくりが求められています。

では、具体的にどんなお墓が高齢者にやさしいのでしょうか。
主なポイントをまとめると、次のようになります。

これらの条件がそろったお墓であれば、高齢の方だけでなく、介助をするご家族にとっても安心です。
つまり、「高齢者にやさしいお墓」＝家族みんなにやさしいお墓といえるでしょう。

立ったままお参りできるお墓という新しい形

高齢者にやさしいお墓として注目されているのが、「立ったままお参りできるお墓」という新しいスタイルです。

お墓参りの際、「しゃがむのがつらい」「膝を曲げる姿勢が大変」という方が増えており、この課題を解消するために考案されたのが、立ったまま焼香・献花ができるお墓です。

従来のお墓を壊すのではなく、今あるお墓の前方を少しリフォームするだけで実現できるのが特徴です。
段差をなくし、香炉や花立の位置を調整することで、立ったまま自然な姿勢でお参りができます。
また、工事期間が短く、既存の香炉や花立をそのまま活かせるため、費用や時間の負担が少ないのも魅力です。

石のカンノでは、こうしたニーズに応える独自サービスとして、「はかもり」という立ったままお参りできるお墓リフォームを提供しています。
「今のお墓を大切にしながら、これからも安心してお参りしたい」という方におすすめの方法です。

詳しくは以下のページをご覧ください。
今のお墓を『はかもり』で立ったままお参りできるようにしませんか？

おわりに

お墓は「建てること」よりも、「これからも守っていけること」が大切です。
高齢化が進む今、誰もが無理なくお参りを続けられるお墓づくりは、家族の絆や供養の心を未来につなげるための大切なテーマといえるでしょう。

段差の少ない設計や、手入れしやすい環境、休憩できるスペースなど、お参りのしやすさを考えた工夫は、高齢者だけでなく、家族みんなにとってやさしいお墓になります。
「行きやすい」「手を合わせやすい」環境を整えることは、家族が自然とお墓に足を運び、想いをつなげていくきっかけにもなります。

石のカンノでは、高齢化社会にふさわしいやさしいお墓の形をご提案しています。
お墓の新規建立やリフォームをお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。