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インタビュー

いわき支店長インタビュー|100年200年先を考えた、天災に強いお墓づくり

お墓は日々、日光や雨風にさらされているので経年劣化は避けられないんです。ただ、地震などの天災で石材が簡単にズレたり、倒壊したりしてしまうようなお墓をお客様にお譲りしないように。そのために私たちはこれまでの長い歴史の中から得られた知識や教訓を活かして、耐震性やお墓のデザイン面など、お墓の構造ひとつひとつに試行錯誤を繰り返して、この先100年200年まで考えたお墓作りができるように心がけています。
と、お墓に対しての考えを話す松本いわき支店長。

お墓は亡くなった方に会いに行ける、その時間を皆で共有できる場所

Q.お墓の必要性についてどうお考えですか?

A.全国的に新たにお墓を建てられる方が減少しているのは事実ですが、例えばお子さん、お孫さんがいるようなご家庭の方であれば3世代に渡っていますので、少なくても50年以上、あるいはその先までお墓参りが出来るんです。お墓があるということは、亡くなった方に会いに行ける、そういった時間を皆で共有出来る一つの場所を持つということです。家と一緒ですよね。お墓も第二の家とよく言いますが、そういった唯一無二の場所だと思うんです。事情があってお墓を見ていく人が途切れてしまうようなことがあっても、皆で繋いできたお墓は十分にその価値はあったのと、私はそう考えています。

Q.お墓屋さんからみて墓じまいはどう思いますか?

A.新しくお墓を建てるお客様よりも、今はお墓を直す方や、墓じまいのご要望が年々増えてきています。ただ、墓じまいのご要望が来た時は、必ずお客様に本当に墓じまいをしてよろしいのかの確認をするようにしています。状況をお聞きすると、どうしてもお墓を守っていく人がいない、墓じまいする費用を残された方に引き継ぐのは負担がかかってしまう、お墓を残したままだとお寺さんにも迷惑がかかるなどの理由で自分が元気なうちに墓じまいをして、永代供養や納骨堂に仏様を移動されて、そちらで供養を続けて行くパターンもあるので、これは致し方ないのかなと思います。

Q.お墓のリフォームは最近どうなんですか?

A.建ててから40~50年経っているようなお墓は、当時の工法の違いや、昨今の度重なる地震の影響で地面の基礎からガタガタになってしまって、直すよりも一度壊して新しいものを建ててしまった方が早いというケースもあります。ただ、お墓はこれまでの歴史や想いが込められているので、古いお墓を直して部分的に新しい石で作り直したいというご要望は多いですね。

Q.衣装袋に刺繍を始めたのは、何かきっかけがあったんですか?

A.これまでお世話になった方々への最後のプレゼントとして、優しく包み込んで送ってあげたいというお気持ちになられた時に、「プリントでは少し寂しい」というご要望もあるのではと考え、さくら柄とコスモス柄のメッセージ入りの刺繍を採用しました。今後は例えばユリや桔梗など生前お好きだったお花の刺繍、明るい性格だったのでイメージに合うひまわりの刺繍など、選べるバリエーションを幅広く持っていきたいなと考えています。

Q.これから店長はどういうものを売っていきたいですか?

A.リーズナブルにお客様から選んでもらえるようなお墓。デザイン自体をもっと簡素化して、でも十分満足して貰える様なお墓が理想です。例えば20~40年前は背が高くて、石のボリュームも大きくて、高級な石材で、というお墓に価値を見出す時代がありました。でも今は世代が変わっています。そんなに石材の量を使わなくてもお墓として価値を見出せる、これからの世代の方々に受け入れていただけるような、あたらしいお墓の形を創造していきたい思っています。

松本支店長とは?

Q.店長はこの会社に入られて何年ですか?
A.23年です。

Q.最初からいわき支店だったんですか?

A.新卒で入社し最初の配属は福島の霊山町にある石材卸の部署でした。一年間の研修を経て、現在の東京支店への配属を命ぜられました。その頃はちょうど、首都圏の霊園開発が盛んで、当社で出資した霊園区画を販売しつつ墓石も販売するスタッフとして下積みしてきました。

Q.石材卸しに最初に行ったときは大変でしたか?

A.そうですね。取引先に対しての図面作成業務があるんですよ。お墓の寸法はメートルやセンチではなくて、尺寸の尺貫法。その辺の感覚を覚えるところからのスタートだったんです。勾配や角度を求めるような複雑な計算も伴い、当時は苦労しましたけど、嫌だなと思ったことは一度もありませんでした。

Q.一番大変だったのはいつですか?

A.東京時代の話になってしまうんですけれども、異動した後4、5年までは建墓のお問い合わせも多く、多数のお客様が霊園見学に来られていたのですが、その後他の霊園もたくさん増え飽和状態となってきました。それ以降は自分の足で東京、千葉、神奈川、埼玉に車で赴き、軒並み訪問したり、電話帳をもとに電話営業したり。自力の営業になってからは大変でしたね。

Q.いわきにきてからは大変なことはありましたか?

A.東京だと石のカンノの知名度が低いので、石のカンノってこういう会社なんですよっていうところからの説明が必要でした。ところが、いわき市のお客様は石のカンノのことをほとんどの方が知っていますので。どちらかというと石のカンノのブランドを汚さないように、しっかりした仕事をしなければいけないというプレッシャーの方が大きいですね。

いわき支店とは?

Q.いわき支店の対象エリアはどこぐらいまでですか?
A.北は浪江まで。西が棚倉あたり。南が茨城の磯原まで。ご要望によってはどこまででもといった部分はありますので広範囲です。

Q.社員さんで一番若い方は何歳ですか?
A.32歳ですね。男性と、女性がいます。

Q.社員さんとの間で大事にしていることは何ですか?

A.お客様に対して失礼のないようにとか、そういったあたりまえのレベルの話ではなくて、お客様のお気持ちやご要望をしっかり耳を傾けて聞く。耳だけではなくて心も傾けて話を聴くようにということを指導し、共有しています。

Q.いわきの墓石は何色の石が多いんですか?
A.どちらかというと白から中間色が多いのかなと思います。福島は東北でも山形や宮城寄りの風習があるので、圧倒的に黒なんですよ。いわきはどちらかと言うと関東寄りで白が多い。地域性はあるのかなと思います。

Q.石のカンノの場合、墓石の完成までにどれくらい時間がかかりますか?
A.注文して2ヶ月半頂いております。急ぎのお客様に対しては1ヶ月半で対応させていただいています。

Q.いわき支店の特徴は何になりますか?
A.いわき支店の1ヶ月あたりのご来店の件数は、県内の各店と比較しとても多い店舗です。鹿島街道といういわき市で一番立地が良く、人流が多い地域にあるので、そういった意味では選ばれやすいのかなと思います。

最後までお客様の要望に合わせることに労力をつかっています

Q.お墓を建てる料金が会社によって違う理由は何かあるんですか?

A.例えば、当店の場合ご使用いただく石材の厚みの最低基準を決めています。ところが、とある他社様では更に厚みを少なくしてお墓を設計していることもあります。石のカンノとするとこの幅では地震に弱く、耐久性の面でもおすすめできない。最低これだけは厚みをとって下さいと提案しています。安い理由は削る所は削ってつくるお墓だからなんですよ。最終的な見栄えが良ければいい、ということなんですかね。当店の場合見えない部分もきちんと行っています。お墓の中身をみたら、他社で砂利を詰めて仕上げているところを、当社では御影石を積んで仕上げているとか、金額の違いにはそれなりの理由があるんですよね。同じような施工をすれば同じような金額に出来るんですけれども。そこら辺は会社の考え方の違いなのかなと思います。

Q.そういう石屋さんではお墓は選べるのですか?職人さんにお任せになるんですか?

A.デザインの話ですが、他社様の場合、大体3パターンとか、多くても5パターンくらいのデザインの中から、すすめられるままに建てているんじゃないかな、というお墓が多いです。当社の場合ですと、全部で五千から一万くらいの組み合わせのデザインからご自由に選べます。お客様によっては花立一つにしてもこだわりを持って、こんな曲線が欲しいんだとか、最後までお客様のご要望に合わせて図面を作ったり、そういったところに労力はを使っていますね。

Q.入社された頃と比べて、良くなってきている所はどういうところですか?

A.こちらからお客様にセールスする訳ではなくて、お客様の要望に合わせた商品を提案できる点。また、商品だけではなくて、ご要望に合わせて当店の営業が最後のお引き渡しやご納骨まで付き添えるところかなと思います。

Q.この世界に入って嬉しかったことは何ですか?

A.ありきたりですが、お客様から感謝される、その度合いが歳をとるにつれて増えてきているという所です。当然、感謝されないようなお墓はつくっていないですけれども。お客様のご要望、心の内に何を秘めて来店したのかを聴くことによって、ファーストコンタクトの時点でご要望に気づいてあげられる。最後にはご要望通りのお墓が出来た、要望通りにお墓を直してくれたというお客様のお声や感謝の度合いが、今が一番高まっていると感じています。

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